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高齢者の一人暮らし、介護業界救う「マッスルスーツ」

2020-08-13
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画像はイメージです



先日、「マッスルスーツ」の開発者である東京理科大の小林宏教授を訪ねた。以前某雑誌で「親孝行家電特集」のナビゲーターを依頼され、その際に家電量販店の方から売れている商品の1つとして紹介されたのがマッスルスーツだったことからその会社のウェブサイトをのぞいたのだが、なんと開発者は東京理科大学の先生、「これは面白い取り組みだな」と関心を持ち、インタビューに至ったのだ。

そもそも、日本では産学連携とかいいながらも、それほどうまくいっているケースは少ない。
以前、高齢化をにらみ、さまざまな企業のシニア向け商品の開発や販路開拓についてアドバイスする企画などを霞が関のお役人が実施したケースもあるが、その結果はいわずもがなだったし、行政が助成金を出して支援しても、福祉系や介護系など、シニア向けは、そのほとんど軌道に乗らず、売れず、お蔵入りみたいな物が多い。
そんなこの国で、大学教授がマッスルスーツを開発し、ビジネスとして世に問い、家電量販店で積極展開するなど超レアケースだと思う。

ところで、このマッスルスーツ、圧縮空気を使った人工筋肉を使っているので電気モーターなどを起動するためのコンプレッサーがない。つまり、電気などの動力を使わず、身体に装着するだけで、空気圧で重い荷物が楽に持ちあげられる仕組みなのだ。インタビュー当日に試させてもらったが、確かに30㌔の荷物が苦もなく持ち上げられた。

今のところ、高齢者が働く工場などで活躍しているというが、今後は家庭でも普及する可能性もあると思う。
まさに、人生100年時代、高齢者の一人暮らしも増えるだろう。
例えば、女性の高齢者一人暮らしの場合、ちょっとした荷物の移動や、庭の手入れなどでも力仕事になる場合が多い。だが、そのたびに便利屋さんや家族、友人を呼ぶわけにもいかない。
そんなときに、さっと気軽に着けられて、筋力を補助してくれるマッスルスーツがあれば、誰に依頼することもなく自分で家事ができるし、いうまでもなく介護の現場での活躍も期待できるだろう。実際のところ、まだ女性の高齢者が1人で装着するには難しいと感じたが、その点も改善していくという。

人生100年時代を快適に生き抜くためには、こういったチャレンジングな製品を活用すべきだろうし、そういうチャレンジを阻害しない社会環境になっていくことが求められるだろう。




=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。


 

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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