「親のこと」が気になったら、マネープランを・・・
医療の進歩とともに、日本人の平均寿命は少しずつ延びています。2022年の調査(厚生労働省「令和3年簡易生命表」)では男性は81.47歳、女性は87.57歳となっています。〝平均〟でこの年齢ですので、およそ半数以上の人はこれよりも長生きしていることになります。80歳の男性は「平均であと1~2年」と思ったら、大間違いです。
「平均余命」という言葉があります。これは、「〇歳の人は、平均であと何年生きているか」というデータで、平均寿命よりも長くなります。同じ調査で、80歳の男性の平均余命は9.22年となっています。つまり、平均で89歳まで生きているというわけです。同じく80歳の女性の平均余命は12.12年です。すでに高齢になっている人は、平均寿命を超えて長生きするわけです。生活費や介護費用など「親のこと」を考える場合、平均寿命を前提に考えると資金不足になってしまいます。
さらに、徐々に平均寿命が延びていることを考えると、現在の50代、60代の人であれば、もっと長生きすることが考えられます。「ジブンノコト」となると、さらに十分な準備が必要です。
老後の生活費
ファイナンシャル・プランナーとして、数多くの家計診断をしてきましたが、老後には意外と費用がかかります。特に現役世代の人は、退職後は支出が減るものだと思いがちですが、そうでもありません。
元気なうちは、趣味や旅行などで、現役時代よりもむしろ増えることが少なくありません。
ここ数年は新型コロナの影響で、この分野の支出が少なくなりました。
しかし、これからはまた復活してくることでしょう。定年後は時間があるだけに、余暇に時間もお金もかけることができます。
体力が衰えたり、病気がちになると、余暇のための支出は減りますが、医療費や介護費用が増えていきます。
この部分の費用は、人によって差が大きく、予想外の出費で資金不足になってしまうこともあります。
資金不足になると、子が負担せざるを得ません。親の資産に合わせて、〝適切〟に支出していくことが大切です。
自分に合った施設に入居を
例えば、老人ホームに入居した場合の費用を考えても、「入居一時金はなし、月額費用は15万円」という施設もあれば、「入居一時金は3,000万円、月額費用は30万円」という施設まで、さまざまです。入居した時はよくても、やがて貯蓄が枯渇し、月額費用を支払えなくなると、退去しなければなりません。90代になってからの退去となると、子の負担は小さくありません。
一方、十分な貯蓄がありながらも、将来の資金不足が不安で格安の施設に入居する人もいます。それでもご本人が満足していればよいのですが、もったいないだけでなく、今までの生活環境と異なるため気の毒に感じるケースもあります。 やはり、ご本人の経済状況に合った施設に入居するのが、居心地も良いようです。
シミュレーションなら、いろいろと試してみることができる
では、経済状況に合った施設を選ぶにはどうすればよいでしょうか?
それには、マネープランを立てて、将来の状況をシミュレーションするのがよいでしょう。
5年後、10年後に資金が不足しないかを検証することができるからです。 人生はやり直しがききませんが、シミュレーションであれば、いろいろなパターンを試してみることができます。そうすることで、資金が不足しないように、そしてもったいない状況にもならないようにするには、どれくらいの価格帯の施設を選べばよいかがわかります。
親の介護をどうするか迷うときには、将来の資金状況をシミュレーションで分析をすることをお勧めします。ご自身で分析することが難しいようでしたら、一度「オヤノコト」相談室を利用してください。
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「オヤノコト」パートナー相談員 村井英一
家族の生活設計の相談を多く受ける。介護の費用についても詳しく、各地で講演が多い。
ファイナンシャル・プランナー、FP技能士1級
特定非営利活動法人くらしとお金の学校 代表
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