親の「熱中症」を防ぐには
毎年夏は熱中症で緊急搬送されるニュースが増える。特に最近では、毎日、高齢の親が熱中症で搬送されたり、亡くなったというニュースを耳にする。
特に65歳以上の高麗者の数が多い。昨年、熱中症で搬送された人は4万7624人だが、そのうち高齢者は2万5228人。熱中症患者の半数は高齢者なのだ。
私の知人にも、高齢の父親が畑に出たまま戻らないので様子を見に行ったところ熱中症で倒れており、病院に搬送したが亡くなってしまったという人がいる。
読者の皆さんの中にも、高齢者の熱中症のニュースを見るたびに、離れて暮らす親や日中独居している親のことが不安になる人は多いと思う。
ところで、熱中症は屋外で起きることが多いが、高齢者の場合は屋内でも注意が必要だ。高齢になると身体のさまざまな機能が低下し、熱中症発症確度が高まるからだ。
高齢になると体内の水分量が減る。成人の場合、水分量は60%ほどと言われているが、高齢者は約50%に低下するという。しかも、高齢者は喉が渇きにくかったりするので水分補給をしなかったり、頻繁にトイレに行くことがイヤで水分摂取を控える傾向がある。若年層に比べて脱水になりやすいのだ。
また、高齢になると、汗をかきにくくなると言われている。汗が出なければ体温が下がらず、熱が身体にこもってしまい、熱中症になりやすい。
さらに、高齢者が室内で熱中症になる原因として多いのが、「エアコンを入れない」ことだ。これは、過去に弊社が調査したデータでも如実に現れたことだが、高齢者はエアコンが「身体に悪い」「電気代がもったいない」というイメージをいまだに強くもっている。そのため、暑くても我慢してしまう人が多いのだ。
例えば、子供が「今日は暑くなりそうだからエアコンを入れておくね」と言って出かけても、子供が外出した途端に切ってしまう親も多かった。
そこで、親が室内で熱中症にならないための注意点をいくつか述べておきたい。
まず、外出から帰ったら窓を開けて風を通す。部屋のよく見えるところに温度計を置き、こまめにチェックする。
そして、カーテンや簾などで直射日光が室内に入るのを避ける。これらを徹底するよう、親に伝えておくことだ。
親が熱中症で倒れて要介護状態になり、子供が介護離職を余儀なくされることも十分にありうる。
親には「暑さを我慢せず、エアコンや扇風機を使うことをためらわないように」とアドバイスしておくことが大切だ。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)