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気づいてますか? 家庭内での親のヒヤリ・ハット

2019-11-12
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年々増加する親世代の救急搬送

東京消防庁のデータによると、過去5年間でけがなどの不慮の事故で年間約5万人の65歳以上の親世代が救急搬送されており、全体に占める割合は年々増加しています。

しかも高齢になるほど救急搬送される割合も、重症度も高くなり、その後の生活に支障をきたすケースが多くなります。

なかでも気になるのが、けがが発生した場所は、住宅等の居住施設が最多ということ。

全体の6割が住宅等で発生しています。 けがの原因の約8割が「ころんだ」ことです。一見、安全に見える家の中に危険が潜んでいるようです。

そういえば久しぶりに実家に帰ったら親が「家の中なのに転んで」という話をなんとなく流して聞いていた方、ちょっと気になってきたのでは?

 

上記のグラフを見てもわかるように、大きな事故のかげには、小さな“ヒヤリ・ハット”が潜んでいるようです。

60歳以上を対象に東京都生活文化局が実施した「シニア世代のヒヤリ・ハット」基本調査では、実に3人に2人の親世代が日常生活でヒヤリ・ハットや危害経験があると回答しています。

20歳代から50歳代と比較して特に多かったのは「段差(家の中)」「スリッパ」「脚立・踏み台」による転倒・転落との結果がでており、他には、「布団」・「布団カバー」・「浴室のマット」・「階段」など家庭内で様々なヒヤリ・ハットや危害経験の事例もあがっています。

また、危害経験のある高齢者は、病院等で受診している割合が多いとの調査結果がでており、けがが重症化しやすい親世代では、特に注意が必要です。

「子供世代のみなさんは、一度親目線で家庭内を点検し、足元のつまずきやすいものや滑りやすいものを取り除くなど、整理整頓を行う等で事故を未然に防ぐ親孝行をしてみませんか?

家のなか、こんな危険も!? 

<居室>
●スリッパ

立ち上がり、スリッパをはいて少し歩いたところで足がもつれ、片方の足でもう片方のスリッパを踏んでしまい、危うく転びそうになった

●脚立

踏み台に乗って書類を取ろうとしたら、バランスを崩して転落した

●コード

床に這わせていたコードにつまづいて止まることができず、部屋と部屋の間の5センチほどの段差を左足の親指で蹴ってしまい、骨折した

●カーペット

居間に入る時、カーペットがはがれて転倒し、手を骨折した

●新聞・チラシ

部屋に読みかけの新聞やチラシが置いてあり、それをよけて通ろうと思ったがよけきれずその上に乗ってしまい滑った

<浴室>
●浴槽

浴槽に入ろうとした時に浴槽の縁に手をつこうと思ったがツルンと滑って、浴槽の縁に腰と首をぶつけ、湯船の中に沈んでしまった。なんとか自力で浴槽から這い上がろうと、浴槽の縁にかけた腕に力を入れたとたん、手が滑って転倒しそうになった

●マット

マットにシャンプーが付着していたため、滑って転倒した。浴室に入ろうとして、すのこの上に足を乗せたところ、すのこが滑り、危うく転倒しそうになった

●椅子

洗い場の床に石鹸が残っていたため、座ろうとしたら椅子が後ろに滑り、尻もちをついた。壁に頭を打ちそうになりヒヤリとした

出典:東京都生活文化局消費生活部「シニア世代のヒヤリ・ハット調査」より

大きな段差よりわずかな段差の方が危険

「子ども世代なら筋力やバランス感覚があり、つまずいても体位を保てますが、親世代は思ってもみないところで転倒してしまいます」

と話すのは、訪問看護師や老人ホームでの勤務経験があり、フットケアワーカーでもある吉田京子さん。

「はっきりわかる大きな段差より、カーペットの端や引き戸のさん、床に置いた新聞など、ほんのわずかな段差の方が危険です」。

小さな段差でつまずくのは、自分が思うように足先が上がっていない証拠です。 「朝目が覚めたら、まず布団の中で足首を上下に動かしてから起きるとか、夜トイレに行く時には、『トイレに行くぞ』と自分に声かけして身体を起こすだけでも違ってきます」。

「オヤノコト」世代も生活習慣の見直しを

「事故を予防するためには、手すりを取り付けるのが一番です。カーペットの下や浴槽には滑り止めのマットを敷くといいですね」。

浴槽には取り外しのできる簡易タイプの手すりもあるので、浴槽の両側につけて両手のどちらでもつかめるようにしておいた方がいいそうです。

洗い場のマットは、一面に敷き詰めれば万一転倒してもクッション効果が期待できます。

また腰かけて身支度ができるよう、脱衣所や玄関には椅子を置くといい、とも。

「手すりがわりに家具をつたって移動する方も多いですが、家具が不安定だとそれが転倒の原因になります」。使い慣れた家具でもぐらつきがないかどうか、子ども世代が室内を一通りチェックしてみるといいでしょう。

もうひとつチェックしておいてほしいのが、衣類です。「パジャマやズボンの裾が長すぎたり、ウエストのゴムがゆるくなって裾が下がったりして踏んでしまい、転倒することもあります」。

着慣れた衣服は楽ですが、転倒の原因になっては元も子もありません。また冬に、寒いからと厚着しすぎると、動作が鈍くなって転倒の危険も増してしまいます。

家庭内での事故防止のポイント
(1)階段や廊下に手すりを付けることなどを検討しましょう。

(2)敷居にはミニスロープを設置するなど、足元に十分気を配りましょう。

(3)脚立・踏み台を使わないと取れないような高い場所に物を置かないようにしましょう。 (4)夜中にトイレにいくときなど、足元が暗いと危険です。人感センサー付きの足元灯などを利用し、段差がよく見えるようにすると良いでしょう。

浴室での事故を防ぐために

(1)浴室内全体を自由に動くための補助になる手すりを設置しましょう。

(2)浴室マットは洗い場全体に敷き、段差を作らないようにしましょう。

(3)浴用椅子はしっかりと安定感のあるものを使用しましょう。


親世代の事故は一人の時に多く発生しています。

事故の経験は、外出をしなくなるなど親世代のその後の生活にも影響を及ぼしてしまいます。 事故を防ぐために「親世代はもちろん、子ども世代自身も生活習慣を見直してほしい」と吉田さんは言います。「筋力やバランス感覚を維持するのも、部屋の整理整頓などの住環境も、生活習慣が基本ですから」。

私たちは突然筋力が弱まるわけではありません。つまずきやすくなるなど必ず予兆があると言います。「親世代のヒヤリ・ハットは、子ども世代にも無関係ではありません」。良い姿勢を心がける。日ごろから歩く習慣をつける。部屋を片付ける…親世代と一緒に、「オヤノコト」世代からはじめてみてはどうでしょうか。

資料・データ提供:東京都生活文化局消費生活部生活安全課商品安全係「あしもとに注意!」パンフレットより抜粋

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