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外国人のほうが“危機感”持つ日本の高齢社会・・・官民挙げて議論を

2020-03-27
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 先日、某出版社で打ち合わせした際に衝撃的な体験談を聞いた。その話をしてくれた部長はアジア各国を旅するのが好きで、アジアでは行ったことのない国はないくらいアジア通だそうだ。
 その部長がかれこれ8年も前に旅先の長距離バスに乗ったときのこと、隣に座った現地の女性(主婦)から唐突に話しかけられた。日本人だと分かった途端、英語と時々日本語交じりで「日本人はなぜ現政権を許しているのか?」と、たたみかけられたという。道中の4~5時間ずっと話し続けたらしい。

 その女性のご主人が日本人ということもあったらしいのだが、どうやら彼女が伝えたかったことは、高齢化や人口減少などに対して具体的な対策を何もしない政権に対して、「おとなしすぎるのではないか?」「なぜ何もしないのか?」ということだったようだ。

 以前から私も「備えよう」「一人ひとりが意識して行動しよう」と訴え続けてきたが、「日本は人類誰もが経験したことのない速度で高齢化、人口減少を経験する国」と、20年以上前から指摘され、世界中の国々からは「果たして日本はこれからこの危機をどう克服するのだろう」と注目され続けていることを忘れてはならない。

 2020年の今現在、抜本的な対策が取られて事態がよい方向に向かい、世界中の人たちから「さすが日本人、この難局を乗り切るためによい施策を打った」などと評価されているなんて誰も思っていないだろう。
 それどころか、「老後のお金2000万円問題」、「社会保障や年金が先細り、若年層はもらえなくなるのでは?」「年金支給開始を70歳からにする」など、先の見えない不安ばかりが渦巻き、希望の光が見えない。
 にもかかわらず、意外とのんきなのが日本人なのだ。
 まさに、外国人の方が危機感をもって日本を見ているにもかかわらず、自分たちだけ(亡国の危機が目の前に迫り、それを予測していたにもかかわらず無為無策のまま)のんきだということを、先のバスの女性は言いたかったのだろう。

 「人生100年時代」を本気で考えるなら、今、そして、これから現実的に起こりうる事態にどう対処するかを官民挙げて本気で議論すべきではないだろうか?
商売道具に「人生100年」をうたう宣伝広告に踊らされていても何も解決しないのだ。



=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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