コロナ禍で増える老人ホーム入居希望
新型コロナウイルス感染症の感染者が増え続けている。
経済活動がストップすることへの配慮なのか緊急事態宣言が出される様子はなく、経済との両立を模索しているのだろう。それでも、飲食店を中心に苦境に立たされるビジネスは多いのが気がかりだ。
しかし、なぜかそんな状況下で「老人ホームへの入居相談」が増えている。
今の時代、高齢の親世代と同居している世帯は少なく、高齢者ご夫婦だけとか、おひとりだけという住まい方が多いことは言うまでもない。
弊社の読者向けの調査をみても親と同居しているのは32%で、遠距離別居26%、近距離・別居42%を合算すると68%が別居であるが、コロナウイルス感染症の影響で帰省もままならず、近居であっても接触を控えているという人も多く、親の暮らしを心配する人も増えているのだろう。
まさに、コロナウイルス対策として外出を控えろ、人はあまり接触するなといわれても、高齢の親世代がご夫婦だけ、おひとりだけで暮らしている場合、自宅に引きこもるような状態が長く続けば身体機能も低下し、人と接触しないことから認知にも影響する可能性すらあるから注意が必要だ。
それどころか、買い物や通院で外にでる必然もあるだろうし、宅配便とのやり取りだってあるだろうから、自宅で生活していれば他人との接触を完全に避けることなどできない。
そこで、「老人ホーム」やサービス付き高齢者向け住宅への入居を検討するケースが増えているのだ。
つまり、老人ホームであれば、常に老若男女、職員がいるので会話する相手がいるし、食事も3食館内で食べられるので買い物に出て人と接触する不安も解消される。
さらに、家族の面会が規制されているホームでも、オンライン面会などを導入してくれている老人ホームもあるから寂しい思いを軽減することもできる。
もちろん、食事に関していえば、自分の部屋で自炊することもできるが、館内の売店で買い物することもできるし、近隣のスーパーマーケットなどから訪問販売車が来るホームも多いから、むやみやたらに買い物に行く必要もないという利点もあるのだ。
さらに、私の知る限りでは、職員に依頼すればネットスーパーでの買い物もサポートしてくれる老人ホームは少なくない。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)