リタイア後の生き方③ 流れに身を任せて得た出会い「新たな自分を発見」
前回に続き、相模湾に面する神奈川・二宮で暮らす江戸理(おさむ)さんの取材リポートの3回目となる。
さて、離婚を機に鶴見の社宅から一人暮らしのために引っ越しをした江戸さん。
「もともと車が趣味の僕は、機会をつくっては箱根にドライブに訪れていました。それがきっかけで西湘地区に多数の友人ができ、そのうちに西湘あたりで暮らそうと地元の不動産屋を訪ねました。そして、最初に案内されたのが二宮のインナーガレージ付きの集合住宅でした」と経緯を説明してくれた。
「二宮という町は全く知らなかったけどインナーガレージを一発で気に入り、後先考えずその場で契約を決めて住みはじめました、まさに即断即決でした」
40代半ばにして、それまでの順風満帆なサラリーマン人生に挫折を感じた江戸さんは、二宮で暮らすようになってから、公私共々でいろんな人と出会う機会を持つことになる。
私は、人生はプラスマイナスゼロと思っているのだが、また、大きな逆境はその分だけ大きな幸運が訪れる前触れではないかとも思っている。だが、それも逆境にあるときに腐らず、自暴自棄にならないことが必要なのだとも・・・。
まさに、江戸さんは「流れに身を任せ、一旦『間』を置いてみた」のだ。そうすることで、流れがいい方向に変わってきたのだろう。
「実はその後、今の妻と出会い、家庭を持ち子供ができ、それまでの借家ではさすがに手狭になり、1年ほどいろんな物件を探した揚げ句、地元、二宮の商店街の物件に出合い、ガレージハウスに改装し転居したことで、地域とコミュニケーションを持つようになりました。そして、この地の高いポテンシャルに気づき、二宮の地を活性化させようとするアートプロジェクトの支援にもつながっていきました」
新しい出会いがきっかけで、新しい自分を発見する機会を得たのだ。
余談だが、ガレージハウスを改装した際も、スーパーセブン好きの友人たちがいろいろ手伝ってくれたと言うが、仕事以外の引き出しが多いと、なにかと助けてくれる仲間のネットワークが増えるのだろう。
次回は、この地で新しい広がりを見せるプロジェクトとの出合いについて書きたいと思う。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)