親世代の不安はコミュニケーション不足の齟齬
オフィスに高齢(70代女性)の親世代から相談があった。
最近は「オヤノコト」と言いつつ、親世代からの相談が増えている。
相談者は都心部の公営住宅で1人暮らしを続けており、子供が独立した後は贅沢することもなく静かに暮らしてきたと話す。
生活に困ることはなかったが、少しずつ健康に不安が募っており息子さんに相談するが忙しくなかなか真剣に取り合ってもらえないという。
このまま一人暮らしを続けて介護が必要になったらどうしようか?早めに施設に住み替えた方が良いのか?そもそも自分が入れる施設はあるのか?等々、悩み多き日々を送り息子さん(40代)に相談することなく訪ねてきたのだ。
相談員は約2時間にわたり、暮らしや経済的なことなど、じっくりお話しを伺った。
ご友人はおられるが、自分の暮らしのことまで相談となればなかなか難しいと呟かれたとき相談員はこの方には親身になって相談に乗ってくれる人が必要だと感じもちろん身内とのやり取りが得策だが、先にも記したようにご本人も躊躇されてるのでご家族とのコミュニケーションも取りづらいのだろう。
とは言え、まずは息子さんに相談すべきであることを助言し、入居者本意で親身に対応していただける、実績ある有料老人ホームをご案内した。
そこは居室がある自立・介護の混合型ホームであり、費用も経済条件に合致していたので、「不安を抱きながら日々暮らすよりは、健康で元気な今のうちに早めに入居し、安心して悠々と暮らされた方が良い」とのアドバイスを受け入れて頂けたのか後日入居する方向で話がまとまった。
親子のコミュニケーション不足による齟齬も多々あると思われる。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)