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人口減少時代への備えも…「相続」「家族信託」など“見極め”を

2019-08-02
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画像はイメージです

 私が講演でよく使うのが、日本の人口の推移データだ。
 そもそも、「1億○○万人が、1億○○万人に減少」とかいうが、ピンと来ていない人が多いと思う。

 まさに、日本人は「点」でしか物事を見ない傾向があり、そもそも目に前に危機が迫らないと動かない人種でないかとつくづく感じることがある。

 日本の人口は、明治維新(1868年)の時点で3330万人、終戦時(1945年)が7199万人。つまり、約80年で倍以上に増えている。

 さらに、日本の人口がピークアウトした2004年12月時点での人口が1億2784万人と、倍とまではいかないが、やはり、たった60年程度で約5500万人も増えている。
 少し俯瞰(ふかん)してみるが、江戸幕府が成立した1603年の日本の人口は1227万人と推計されているから、明治維新までの間、約260年かけて約3倍になっていることを考えれば、明治維新以後から04年のピークアウトまでたった136年で人口が4倍になっているということになる。

 つまり、日本は人為的に人口を増やしてきたのであって、自然増ではないのだ。

 だからこそ、人口が右肩上がりに増えている時点で、先を見据えて対策を取っておかなければ急速に右肩下がりに減っていくことは誰でも分かるだろう。

 しかしながら、わが国は何もしなかった。

 堺屋太一さんの『平成三十年』という小説は1997年から98年に連載されたものだが、そのサブタイトルに「何もしなかった日本」とある。筆者はこのサブタイトルを見たとき思わず膝を打った。

 そう、日本は何もしてこなかった。だから、この先は一気に人口が減る。いわずもがなであろう。われわれは老後(この先の)備えをしなければならないのだ。

 ただ、こういうタイミングでは、虎視眈々と高齢者やその子世代向けにアプローチしてくる個人事業者や企業が多いが、玉石混交だから十分注意してほしい。

 例えば「相続」「家族信託」なども多くの司法書士や税理士など、さまざまな事業者がセミナーなどを開催し、ウェブなどでも宣伝しているが、そもそも宣伝するということは投資である。つまりは、回収する(=もうける)ことが狙いであることはいうまでもない。

 善良な業者ばかりではないので、しっかりと見極める目が必要だ。

「オヤノコト」相談室でセミナーなどを実施しているので機会があれば参加してみてはどうだろうか。



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=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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