発覚から10年以上も…いまだ問題解消されず 親世代の「年金記録漏れ」がないか確認を
これから先、「年金は先細るのではないか」と心配する向きもあるが、それは当然事実として備えておかねばならないだろう。
だが、皆さんはご存じだろうか? 2007年に5095万件もの年金記録漏れが発覚してから10年以上がたったが、この問題はいまだに解消されておらず、17年3月時点では約1951万件もの年金記録漏れの行方が分かっていないというのだ。
では、どういう理由で年金記録漏れが生じていたのだろうか。
大まかには(1)複数の番号による管理(2)人為的ミス-が主な理由となる。
(1)の場合、元々は国民年金と厚生年金、共済組合の制度では年金番号がそれぞれ別番号で管理されていた。
例えば、会社員時代は「厚生年金」に加入、その後独立して自営業者になってからは「国民年金」に、という方はそれぞれ別の番号を持っていたことになる。
それが1997年の基礎年金番号の導入により、これらの複数の番号は基礎年金番号に統合され、「1人1番号」になった。しかし、完全に統合されずに残っていた年金記録があり、それが原因の一つとなった。
(2)の場合、紙台帳からコンピューターに年金記録が正確に移換されなかったり、社会保険庁の職員が、紙台帳からコンピューターに入力する際に、誤った氏名や生年月日などを入力したり、入力するのを忘れたりしたことが原因でもある。
上記のことから、本来支払ったはずの年金が支払っていないことになり、空白の期間ができたという事象が起きたのだ。
次にどういう人に年金記録漏れが発生していたのか。
日本年金機構によると、年金記録が新たに見つかった方の実に約9割が(1)転職が多い(2)名字(姓)が変わったことがある(3)色々な名前の読み方がある(=名前の読み方が間違って登録された記録が見つかった)-上記3点のいずれかに当てはまったという。
年金記録が漏れているということは自分が支払っていたはずの年金が支払っていないことになり、本来支給されるべき年金が支払われないことになる。
まずは、自分ももちろんだが、親世代の支払い状況を確認することが大切だ。少しでも気になることがあったら「オヤノコト」相談室に相談してみてほしい。
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=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)