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高齢者や認知症の人が生きがいを持てる環境を

2019-11-18
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画像はイメージです

人口の多い団塊世代全員が75歳になる「2025年問題」とよくいわれるが、あと約5年と、そう遠くない未来なのだ。

75歳というのは、まさに後期高齢者ということになる。後期高齢者というネーミングには異論・反論もあったが、今では定着した感があり、要介護認定者がぐっと増えるのも、75歳からであることも事実だ。

実際、15年7月の厚生労働省「介護給付費実態調査月報」によると、人口別に占める要介護認定者の割合では、70~74歳の要介護認定率は6.4%だが、75~79歳になると14%に急増している。ちなみに、80~84歳は29.9%、85歳以上は60.3%である。つまり、75歳を境に要介護認定者は増えていくのだ。

さらに、厚労省は25年には約700万人の高齢者が認知症になると推計している。軽度認知症まで含めると1000万人を超えると予測され、高齢者の3人に1人が認知症ということになるのだ。

まさに認知症への取り組みは喫緊の課題であり、待ったなしの状態なのだ。
そんな中、認知症の人が社会とつながり、役割を創出していく取り組みは、すでに一部の老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で進められている。
例えば、SOMPOケアが運営する介護付き有料老人ホーム「ラヴィーレ入間」(埼玉県)では、月に一度、地元名産の「たかはしたまご」を施設前で販売されており、入居者がその手伝いしているのだという。

もちろん、軽度認知症の入居者もお手伝いしており、卵の販売が楽しくて、生きがいや自信にもつながっているという。

また、千葉県のサ高住「銀木犀《船橋夏見》」ではレストランを併設していて、希望する入居者が店員として働くことができるという。

こういう取り組みを通して、高齢者や認知症の人が、働きながら施設で生きがいを持って生活できるような環境をつくることが大事ではないだろうか。

私は「人生100年時代」に向けて辛口な指摘をすることが多いが、働いて生きがいを持ちながら年齢を重ねることができる社会を実現するために、皆で知恵を働かせることが大事なのだと思う。




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=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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