個々の努力と支えあいシステムの構築を
いよいよ年が明けて2020年。だが、昨年後半だけでも、「桜を見る会問題」「かんぽ生命の不適切販売問題」「IR汚職事件」など、真面目に働いて税金を納めている一般庶民としては憤りを感じざるを得ないことが多々起こり、年末最後になって、あのカルロス・ゴーン氏がレバノンに逃れたことが報道されるに至り、オリンピックイヤーとなる今年の波乱を予感したのは自分だけだろうか。
私は随分前から著書や講演で「国民1人1人が、本気でこれからの時代をどうかじ取りするかを考えるべきである」と訴えてきたが、令和2年の新春を迎えて、さらに声高にそれを訴えていきたい気分である。
人生100年時代とはいえ、多くのミドル&シニア世代、いや、若い世代こそ、それを楽観的にとらえている人は少ないだろう。
実際、この国の抱える借金は、2013年からずっと1000兆円を超えている。1000億円でなく、1000兆円なのである。
そして、17年度末にはついに1087兆8130億円と、過去最大に達しているのだ。
まさに、国民1人当たりの約860万円の借金を抱えていることになるのだが、これは昨年4月の総務省推計の総人口(1億2653万円)で計算されているので、赤ん坊から100歳の高齢者まで入っての1人当たりの借金額であることを忘れてはならない。
さらに、この先、人口は急速に減少し、出生率も減少に歯止めがかからない。
言うまでもないが、国の借金が増えているのは、高齢化にともなう医療費や介護費などの社会保障費が税収だけでは賄えず、国債で補塡(ほてん)しているからに他ならないから、これから先の暮らし、まさに人生100年を考えたとき、医療費や介護費の負担が増えることを視野に入れて備えておくことを頭に入れておくべきである。
ただ、個人の努力だけで何とかなるかと言えばそう簡単ではないだろう。
今まさに求められているのは、人と人との支え合いのネットワークをいかにして増殖させていくかということではないだろうか。
以前、「こども食堂」のことを書いたが、老若男女問わず誰もが利用できる集える場として、地域で支え合うこのようなシステムをいかにして構築するか?
令和2年は、具体的なムーブメントを起こすスタートラインの年にすべきだと思う。
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=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)