空き家活用した地域のカフェやシェアハウスなど介護予防対策を徹底せよ
人生100年時代とはいわれているが、65~70歳を過ぎると、日本人の三大疾病(がん、心疾患、脳卒中)の発症率が高くなる。同様に75歳を過ぎると要介護認定率も高くなることは言うまでもない。
誰もがそのことを意識して普段から健康維持に注意してほしいが、まずは、自身はもとより、親や家族から要介護者を出さない努力が必要ではないか? つまり、介護予防対策を徹底すべきだと私は常々思っている。
厚生労働省も「介護離職ゼロ」に向けて民間の老人ホームに支援金を出すよりも、地域包括ケアのコンセプトにのっとって、自助、共助を徹底するならば、地域での介護予防活動などにもっと力を入れるべきではないだろうか。
例えば、全国の空き家は2018年時点で約846万戸と過去最多を更新しているが、33年には2150万戸と右肩上がり増えていくと予測されている。これを地域の人たちが集まってケアしあえるカフェやシェアハウスのようなものにしていけば有効活用できるのではないかと思う。
もちろん空き家バンクなどの取り組みもあるようだが、インターネットで「空き家バンク」というキーワードで検索してみても、どこかピンとくるものが見つからない。
東京都だけでも約81万戸の空き家があり、全国の1割だというから驚きだが、総務省の調査で「腐朽・破損あり」とされた都内の賃貸物件は7万戸以上あるという。そんな中で東京都は所有者不明の空き家をどうするかを提案し、実践した市区町村に対して全額を補助する事業を新設したそうだ。
また、空き家の多い地域を指定し、コーディネーターなどを通じて地域全体を活用する「エリアイノベーションの推進」という地域刷新の推進事業も設けたとのこと。
これらの試みが功を奏し、誰もが人生100年時代を安心して受け止められる社会になることを期待したい。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)