直筆で手紙を書いてみよう! 感謝の言葉と写真を1枚入れて
新型コロナウイルス感染症による外出自粛で、離れて暮らす親御さんが一人暮らしで心配だという人も多いだろう。
帰省して安心させたいと思っても、それもかなわない。せめて電話やメール、ラインで頻繁に連絡を取り合うということくらいしかできない。
そこで、お勧めするのは「手紙」を書くことである。
今の時代、インターネットが普及し、親の世代でもスマートフォンを持つ人が増えているし、iPadなどのデジタルデバイスを使いこなす高齢者も多い。ただ、われわれはそういう文明の利器にあまりに頼りすぎていないだろうか?
余談だが、ドイツでは今でも小学2年生になり、ドイツ語の授業で筆記体を習ったら、その後は算数でも万年筆を使ってノートに書き写すのだそうだ。
このことには賛否両論あると思うので、そういう文化自体をどうのこうの言うつもりはないが、直筆で書くということにこだわるのはいかにもドイツ人らしい。
さて、本題だが、なぜ直筆の手紙をお勧めするのか?
それは、親と普段から電話やメールでやり取りしていると、親側もそれが当たり前になりがちで、意外と本音を言わなくなるケースもあると思うからだ。
つまり、これは筆者の独断と偏見だが、デジタルデバイスでは、気軽にスピーディーにコミュニケーションが取れる分、本音や思いが伝わりづらくなるのではないかと思う。
私の知人の話だが、定期的に電話などでコミュニケーションを取っていたにも関わらず、親が入院していたことを後から親戚のおばさんに教えてもらってショックを受けたなどという笑うに笑えない話もあるのだ。
やはり、文字がうまいとか下手とかではなく、たまには直筆で手紙を書き、それに1枚写真など入れて送ってみてはどうだろう。あるいは、この機会だからこそ、感謝の気持ちを伝えるのもおすすめだ。
言葉に出すには照れくさいが、手紙だと意外と伝えやすい。伝えたい気持ちや言葉は、伝えておきたい人に「今」伝えておくべきだ。デジタルにはない味があり、親御さんも本音を書いた返事を送ってくるかもしれない。
人生100年をデジタルデバイスだけで親や家族、友人たちとコミュニケーションするのはあまりにも味気ないと思うのだが…。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)