コロナ禍の先には超高齢社会 セカンドキャリアに向けたスキル磨きを
コロナ禍が長く続き、「人生100年時代」という言葉もどこか忘れ去れたような雰囲気でもあるが、まさに、「老後のお金2000万円」どころではない厳しい事態が続いている。コロナ禍で仕事を失ったり、給与が減ったりと、先が見えなくなってしまった人も少なくない。
だが、ここでめいってしまっても致し方ない。50代、60代からの再出発も真剣に考えておかねばならない時代が到来したのだ。
もともと、日本はミドル&シニアが社会で活躍するという環境が未整備であるがゆえに、定年後のセカンドキャリア、サードキャリアが描きにくい社会であることは否定できない。
それゆえに、定年退職後に再雇用してくれる会社もないわけではないが、セカンド&サードキャリアにおける収入は、一般的に2分の1~3分の1になってしまう。
さらに、セカンドキャリアにおいては後輩を立てなければならないという思いがあるので、かつての上司、部下の関係も崩壊し、切ない思いをするという人も多いと聞く。
しかしながら、2025年には75歳以上の人が4人に1人となる。泣いても、笑っても、この現実を踏まえた上で社会を構成し、動かしていかねばならないし、自身は稼いでいかねばならない。仮にコロナが収束したとしても、その先にあるのは超高齢社会なのである。
先にも書いたとおり、このような現実に触れるにつけ私が常々感じるのは、この国は超高齢社会に突入していながらも、年長者に対して優しくないということ。ミドル&シニアを生かし、彼らが生き生きと暮らせる環境が十分ではないということだ。
ずっとその会社に貢献してきた人にとっては、尊厳を傷つけられるようなことがいまだ根強いと言っても過言ではないだろう。
だからこそ、「人生100年時代」を思うとき、30代、40代の時点から、自分自身の意思でスキルアップにチャレンジしておくべきなのだ。
それには、これまで打ち込んでいた趣味や得意なことでもよい。「好きこそ物の上手なれ」といわれるが、自身の趣味や得意なことが高収入を得る副業になることなど、(インターネット社会の今は)多々あるだろう。
そもそも、人生は何が起きるか分からないから楽しい。
コロナ禍であるが、そのくらい楽観的に自分の可能性を信じてみてはどうだろうか。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)