「情報弱者」の高齢者を災害から守れ
ここのところ台風が相次いで関東地方をかすめたが、本格的な台風シーズンはこれからといえる。みなさんは、自分の街のハザードマップを見たことがあるだろうか。
7月の西日本豪雨で被害が甚大だった岡山県真備町では、過去にも同じ河川が氾濫しており、洪水ハザードマップでも今回と同じような浸水域を想定していたという。
被害は“想定外”ではなく、“想定内”だったのだ。しかも、死者の7割が60代以上だ。
町はハザードマップを作成し、全戸に配っていたというが、「知らなかった」という声も多く報道されていた。
首都圏に住む私の知人も自宅周辺に浸水予想域があるというが、ハザードマップが配られた記憶はないという。災害などがあるたびに、SNSなどで注意喚起されるので、そのリンクから自宅周辺のハザードマップを確認したというのだ。
「情報弱者」と言われる高齢の親世代は、筆者の知人のようにネットで確認することはできない。もし印刷物が配られていたとしても、記憶から抜け落ちてしまえばそれきりだろう。 もちろん、タブレットやスマホなどを持っていない、あるいは使いこなせない高齢者にとってはタイムリーな情報から隔絶され、こうした災害が起こると被害を大きくしてしまうことになる。
以前こんな話も聞いた。広島に両親が住んでいるAさんが電話で様子を聞いても「大丈夫だから心配はいらない」と言うばかり。自宅は浸水を免れたようだが、ライフラインが止まって困っていることもあると思われるのに、そういったことは一切わからないと嘆いていた。 親は離れて暮らす子供に余計な心配をかけまいとする。親が「大丈夫」と言ってもそれを鵜呑みにするのではなく、ハザードマップを確認して注意喚起するなど、天災、災害についても、我々子世代がも何らかのアクションを取ることが大切だろう。
=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。
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- このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
- 著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)