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儲けよりも信念が大切な見守りサービス

2019-08-30
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 高齢の独居の親が増えているが、「見守りサービス」というサービスがあることは知っている人も多いと思う。だが、この見守りサービスはなかなか普及しないのが現実だ。

 電気で見守る、ガスでも見守る、ホームセキュリティーで見守る、カメラでも見守るなど、さまざまなタイプがあるが、宅配弁当などを配る際に様子を見るとか、子供の代わりに電話をかける、郵便局の職員が見守るというのもある。

 まさに、巷には山のように見守りサービスはある。

 だが、なかなかブレークしないのが実情で、私はこれまで多くの撤退や縮小を見てきた。

 そんな中、「みまもりホットライン」というサービスを20年前からコツコツと続けているのが象印マホービン。

 読者も既に想像できていると思うが、ポットのお湯を使った時間や量を離れて暮らす子供世代のスマートフォンにお知らせしてくれるというサービスだ。

 つまり、「今日も定時にお湯を使ってるな」と分かるので、それで安否を確認するというわけ。

 だが、私が20年前に東京・麻布十番のオフィスを訪ねたとき、「1年後に1万人の契約を取るぞ!」とスタートしたが、そう簡単ではなかったようで、苦労の連続だったらしい。

 しかしながら、うまくいかなければ、すぐに撤退するという企業もある中で、象印マホービンは決して撤退せず、これまで長きにわたってサービスを提供し続けているからすごい。

 私はこれまで多くのシニア向けサービスを展開する企業とかかわってきたが、その中で得た結論は簡単だ。

 「高齢化だから高齢者からビジネスで儲けよう」という会社はまず失敗する。そんな発想で事業が継続できるほど甘くはない。

 そもそも、高齢者とは自分たちの行く先であり、単なる年齢を重ねた人たちの塊ではないのだ。

 象印マホービンの方にも言ったが、「ひたすら誠実に事業を継続されていることが素晴らしい」と。シニアビジネスは「人」。企業の看板ではなく、その事業を推進している人の志、信念、そしてそれを理解し、支援する会社の姿勢である。



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=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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