「自分のこと。ときどき親のこと。第6回~友人は財産!」
先日、調べごとでネットをさまよっていたとき、たまたま「人づきあいと幸福度との関係」というレポートが目にとまりました。(2013.1, ライフデザインレポート,第一生命経済研究所)調査では、相手別に困ったときにどの程度頼りになるか調べています。「家族」は、「とても頼りになる」「まあ頼りになる」をあわせると9割以上。対して、「友人」や「親戚」は半数程度という結果です。「友人」に対しては、性別によって顕著な違いがあります。「友人が頼りになる」と回答したのは、女性では60.1%、男性は45.4%。女性の方が友人との係りが濃いということでしょうか。
さらに、幸福度についての結果では…。家族のことが「頼りになる」ケースでは幸福度は高く、「頼りにならない」ケースでは幸福度は低いという明らかな相関関係があります。なるほど、とうなずけます。
と、ここまでは、想定の域でしたが、興味深いのは、幸福度自体は「友人がとても頼りになる」と回答した人が最も高いこと。「家族がとても頼りになる」と回答した人の幸福度よりも高い結果です。
確かに、日々の生活で悩んだり、落ち込んだりしたときに「友人」に救われると…。「他人」であるせいかありがたみは増し、「こんな友人を持ち、自分はなんて幸せなんだろう」ととても心が温まります。友人に対しては、期待をしすぎないようにしているせいなのかもしれません。
一方、家族に対しては甘えが生じ、期待も膨れがちなので、相手が思うように動いてくれなかった場合に落胆となります。
あっ、「家族」に限らず「友人」にガックリくることもあるかもしれません。先日も、知人からこんな話を聞きました。
「久しぶりに高校時代の同窓会があったので、友人に会えるのを楽しみに出かけたがつまらなかった。親の介護の愚痴が止まらない子。孫自慢を延々している子。家族の話ばかり…」。
「仲良しの友人だと思っていたのに、突然切れられて、決裂した」なんて話を聞くことも…。
「家族」同様、「友人」のこともきれいごとだけで語ることはできないでしょう。ですが、信頼関係の築けている友人であれば、ときには愚痴や自慢もOKのような気がします。機嫌が悪いときに、言い争いから決裂しても、冷却期間を置けばまた元に戻れたり…。
このような関係の友人は、一朝一夕にできるものではありません。
家族や親のことも大事だけれど、友人のことも大切にしたいものです。親の介護で友人からの誘いを断ってばかりいたら、そのうち誘いが来なくなった、という人がいました。
慌ただしい日々のなか、友人のことが後回しになるのは仕方のないことでしょう。友人だって、理解してくれるはずです。
ただ、その期間が半年とか1年ならともかく、5年10年と長期化すると、難しいケースもでてくるかもしれません。
意識して、友人との関係を維持していくことも必要では…。結果として、自分と友人の幸福につながるのではないでしょうか。
掲載の記事・調査データ・写真・イラストなどすべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信などを禁じます。転載・引用に関する規約はこちら>>
- このコラムを書いた人:介護ジャーナリスト 太田差惠子(Saeko Ota)
- 介護・暮らしジャーナリスト NPO法人パオッコ理事長 AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)会員 京都市生まれ。高齢化社会においての「暮らし」と「高齢者支援」の2つの視点から新しい切り口で新聞・雑誌などでコラム執筆、講演活動等を行う。1996年、親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年5月法人化した。現理事長。2012年3月、立教大学院21世紀社会デザイン研究科前期課程修了。介護、ジェンダー、ワークライフバランスなどを総合的に学んでいる。個人サイトは「太田差惠子のワークライフバランス」著書に『老親介護とお金 ビジネスマンの介護心得』(アスキー新書)、『故郷の親が老いたとき』(中央法規)、『遠距離介護』(岩波ブックレット)など多数