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100歳までより良く生きるために――「オヤノコト」世代は今何をすべきか

2017-10-15
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人生100年時代はすぐそこまで来ています。

「オヤノコト」世代、50歳ならまだ折り返し地点です(日本人の平均年齢は、現在46.8歳。※人口統計資料集2016より)。「もう50歳」ではなく、「まだまだ50歳」。これからの50年、どう生きるのかを考えることからはじめてみませんか。

より良く生きるために、今やっておきたいことについて「オヤノコト」パートナー相談員でファイナンシャルプランナーの髙井豪さんにお話をお伺いしました。

「これからやりたいノート」で まずは今の自分を知ろう

 「終活」という言葉がひとり歩きし、「エンディングノート」や「家の片付け」など、人生の終まい方ばかりに注目が集まっている印象を受けます。しかし人生100年時代がそこまで来ている今、50歳前後の「オヤノコト」世代にとってそれはあまりに後ろ向きではないだろうか――そう考える髙井さんは、「100歳まで生きるために何をするか、前向きに生きるための『終活』」を提案しています。

「『人生50年』だった戦中・戦後とは違い、今の50歳はまだ十分若い。これまでの生き方を方向転換することもできるし、新しいことをはじめるにもまだ遅くない年齢です」。そのために髙井さんがすすめるのが、これまでの人生の棚卸しをすること。名付けて「これからやりたいノート」です。
 

第1のステップは、今の自分を知ること。

「今の自分はどのようにして出来上がったのか、考えてみてください。好きなこと、何をしていると楽しいのか……思いつくまま、ノートに書き出してみましょう。『本が好き』『旅行が好き』『映画を見ているときが一番楽しい』など、さまざまなことが出てくるのではないでしょうか。そうしたら、その理由について考えてみてください。『小学校のときに図書委員をしたことがきっかけで本が好きになったな』など昔のことが次々に思い出されるはずです。そして、改めて自分の好きなことが実感できるでしょう」。

「オヤノコト」編集部スタッフも、本が好きです。本好きになった理由を考えるうちに思い出したのは、夢中になって読んでいた世界文学全集や本好きだった母親の古びた愛読書。その手触りや、本の世界に没頭していた幸せな気持ちまでもよみがえりました。

自分たちの時代には読みたくても手に入らなかったからと、文学全集を買いそろえてくれた親もうれしそうだったっけ。分厚い辞書を一緒に隣町まで買いに行ったなあ……。

昔を思い出すことは、親を思い出すことでもあるのですね。そのころの親よりも年を取った今、親の気持ちも少しわかる気がしました。

さて、思い出す作業が終わったら次はどうしたらいいのでしょうか。
 

「好きなことを、これからどうしたいか考えてみましょう。もっと追求するというのでもいいし、他に好きなことがあるかどうか考えてみてもいい。旅行が好きな人なら、日本地図で行った県を塗りつぶしてみるのもおすすめです。好きなことがどれだけ達成できたかが一目でわかります」。

編集部スタッフも日本全都道府県制覇を目ざしているところ。「あと●カ所」と、目標が数字で出るのも意欲につながりますね。
 

「友人関係を思い出してみるのもおすすめです」と髙井さん。

「オヤノコト」世代は数十年ぶりに同窓会で再会することの多い世代でもあります。同窓会に出席しなくても、「あの人は今どこに住んでいるんだろう」と調べてみたり、アルバムを見て思い出したりするだけでも楽しいですね。

より良く生きるためには お金のことも考えておきたい

前向きに生きるために「オヤノコト」世代がやっておきたいこと、そのふたつ目は家計の現状把握です。
「将来への不安があっては、前向きに生きることはできません。先立つのはお金です。そこでひとまず1カ月、支出の現状把握をするために家計簿をつけてみましょう」。
アプリもいろいろあるし、レシートをストックして集計するのでもいい。ざっくりでいいので、楽しみながら実行することが基本です。
レシートストック法の場合は、分類したクリアファイルにレシートを入れておき、1カ月後に項目ごとに集計します。項目は「食費」「外食費」「日用品費」「レジャー費」「交際費」「医療費」「その他・衣料や美容院代など」、そのほかレシートがない可能性のある項目としては「税金」「光熱費」「家賃」「教育費」「冠婚葬祭費」です。

冠婚葬祭や孫にかかるお金などは、いわば不測の事態に対応する費用です。固定資産税やレジャー費も見落としやすいと髙井さんは指摘します。
 

家計簿をつけると、無駄遣いが気になってつい切り詰めたくなるものですが、節約が目的ではありません。「今の生活スタイルでどれくらいの支出があるのか、あくまでも現状を把握することが目的なので、やりたいことはやっていい。リタイア後に、生活スタイルをコントロールできるのかというイメージづくりを楽しみながらしてほしいのです」。

いつもと違うスーパーに行ってみる、買い物にはカードを使ってポイントをためてみる、などゲーム感覚でチャレンジしてみるのもいいですね。

年金額だけでなく 年金支給までの収支を確認しよう

出ていくお金を把握したら、老後に入ってくるお金、つまりもらえる年金がどれくらいなのかを確認しましょう。

「毎年誕生月に『ねんきん定期便』が届きますので、それを見て年金の未払いがないか、支払い実態と記録に間違いがないかチェックしましょう。不明点があれば、年金事務所に連絡してください」。
65歳まで働き続けられればいいですが、定年は60歳という会社もあります。年金支給開始年齢の65歳までの空白期間をどう埋めるかを考えていきましょう。子世代の年齢や家族構成、雇用形態などによってまったく変わってくるので、確認しておきたいのは次の金額です。

 

  • 働いている間に貯められる金額
  • 退職金
  • 預貯金残高
  • 住宅の状況(持ち家なのか、賃貸なのか。賃貸の場合は賃貸料が発生し続けます)
  • 子どもの状況(学費がいつまでかかるのか、私立に行った場合を想定して計算します)
  • 親の状況(遠くに住んでいる場合、帰省費用は考慮しておきましょう)
     

今後、年金支給開始年齢が70歳になるのは可能性がありそう、と髙井さん。

「70歳まで年金が支給されなくても、そしてできれば年金が支給されるようになっても働ける環境はつくっておいてほしいですね」。

働くためにも、人生を楽しむためにも、まずは身体が資本。健康でいられる身体づくりが「オヤノコト」世代の最優先課題のようです。  

お話をお聞きしたのは
「オヤノコト」パートナー相談員 高井 豪氏
独立系ファイナンシャルプランナーとして、マネープランから、年金・介護、葬儀など、老後に向けて中立的な立場からのアドバイスを行う(タカイインターナショナル 代表)

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ライター:坂口鈴香(Suzuka Sakaguchi)
20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆 してきました。これまでに訪問した親世代の施設は100カ所以上、お話を聞いた方は数えきれません。今は「オヤノコト」が自分のコトになりつつあり、自分の変化も観察しているところ。

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