間違いだらけの車いす選び vol.1 「安い・軽い・コンパクトという基準で選んでいませんか?」
親世代が車いすを使っている「オヤノコト」世代の多くは、「価格が安くて使い勝手が良い」「軽くてコンパクト」をいい車いすと思っているようです。でも、これは「オヤノコト」世代の使い目線での基準。
では、親のカラダに合ったものでしょうか? 高齢者生活福祉研究所の所長で理学療法士の加島守先生にお話を伺いました。
カラダに合わない車いすは、さらに状態を悪化させる!?
車いすというと、病院などに置いてある標準型を思い浮かべる人が多いと思います。
しかしそれらは「ほとんどの親世代には大きすぎてカラダに合っていません」と加島先生は指摘します。「腰を痛めて病院に行くときなど、緊急の〈搬送用〉と考えてください」。
「カラダに合っていない」車いすとは?
大きすぎる車いすに座っていると、カラダがずり落ちたり、斜め座りになったり、背中が丸くなったりします。結果、腰やお尻が痛くなり、長く座っていられません。
すぐにベッドに戻りたくなるので、生活範囲も狭くなってしまいます。
また、呼吸がしにくくなる、食べ物の飲み込みが悪くなるといった症状が出て、誤嚥(ルビ:ごえん)やカラダの変形・拘縮、褥瘡(ルビ:じょくそう)のリスクも高くなります。
車いすがカラダに合わないと様々なリスクの原因になるのですね。
快適な車いすは、使う人の生活を広げてくれるもの
カラダに合っているかどうかは、家族でも簡単にチェックできます。
□座ったときにゆったりしている印象があれば、大きすぎ。
□コンパクトに見えるくらいがちょうど良いそうです。
次に、正面から見てみましょう。
□肩、腰が左右対称になっていますか?
□斜め上から見て、足、肘が左右対称ですか?
□横から見て、頭がお尻の真上にありますか?
ひとつでも NOがあれば、カラダに合っていません。
このように、よい座位姿勢(シーティング)は家族でも判断できますが、カラダに合わせて調整する「フィッティング」は「福祉用具専門相談員」などの専門家にしかできません。「フィッティングにより、車いすに座っていられる時間が長くなるとベッドから離れて、起きて過ごす時間が長くなり、その方らしい生活を送ることができるようになります」と加島先生。
最近では、シーティングやフィッティングを重視した車いすも開発されています。まずは、実際に座ってカラダに合っているか体感してみることが大切です。
車いすは要介護認定を受け手要介護2以上であれば、レンタルできます。また、要支援1・2、要介護1の方でも、例外的に給付を受けられる場合があります。いずれの場合も自己負担は1割または2割(所得による)です。
カラダの状況や使用目的を聞いて、車いすを使用した生活提案をしてくれる事業所か見極めることも大切です。良い事業所なら定期的に使用状況を確認して、メンテナンスもしてくれます。
レンタルはカラダの状況や生活に合わせた車いすに変更できるのがポイント。「使う人やご家族のこんな生活がしたい」という要望もかなえることができます。
「状態が良くないから、こんなかな」ではなく、親のカラダに合っているかどうかという視点で選ぶことが大切です。
コンテンツ提供:日進医療器株式会社(オヤノコト.パートナー)
お話をお聞きしたのは
高齢者生活福祉研究所 所長
理学療法士
加島 守 先生
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