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独居老人の増加が招く「介護サービスの抑制」

2020-12-17
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画像はイメージです



まさに人生100年時代。今年9月に厚生労働省が発表したが、100歳以上の高齢者が8万450人と50年連続で増えている。
いうまでもないが、その88・2%は女性である。1998年には1万人だった100歳以上の高齢者が12年には5万人を超えているのだから、右肩上がりであることは間違いない。

だが、同時に生活支援が必要な高齢者世帯も増えている。これもまた厚労省の発表によれば、現在約160万世帯もあるというのだ。
こちらについても、90年には44万世帯だったから、その増加傾向は推して知るべしで、20年後には230万世帯に膨れ上がると予測されている。
その原因については、これまでも何度か指摘してきたが、独居老人の増加が挙げられる。

以前の日本では、3世代で住まうケースが多く、高齢者の生活を家族で支えることができた。だが今では、生活を支えるにはホームヘルパーやケアマネジャーなど専門職の人たちの力が必要であり、高齢になっても支えてくれる家族が少ない昨今では、何かとコストがかかるのだ。

ただ、その介護サービスについても先行きは不安だらけだ。
介護保険制度が施行された2000年度の要介護認定者は256万人だった。それが18年には658万人となり、介護給付費も約3兆円だったものが同年に約10兆円となっており、5年後には20兆円を超えるとも予測されている。
つまり、介護保険のサービスの抑制は、ある程度覚悟しなければならない。
また、独居老人の増加にともなって訪問介護などの利用者が急増すれば、この先サービスの供給が追い付かなくなる可能性も十分に考えられる。
まさに、介護サービスを受けたくても受けられないというケースが出てくる可能性も、決して否定することができない未来かもしれない。

長寿は喜ばしいことであるが、人生100年時代には、この国の先にある課題もしっかりと見据えておかねばならないだろう。

  

=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。


 

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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